不妊症について
カップルが妊娠を希望し一定期間(1年間)避妊をせず性交(性生活)を行なっているにもかかわらず、妊娠しない場合を『不妊症』と言います。
不妊症の原因とは?
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(キャプション:WHOによると不妊原因の男女別の割合)
女性側に原因がある場合が約41%
男性側に原因がある場合は24%
男女共に原因がある場合は24%
原因不明 11%
女性に原因が多いと思われがちですが、実は男性も女性も割合は半々という結果になります。
女性側の原因について
排卵障害
排卵障害とはなんらかの原因により排卵が上手くできず、月経の回数が不定期になることをいいます。
1.中枢性排卵障害
脳の視床下部の働きが悪くなり排卵障害が起こる状態です。
脳にはホルモンの司令塔である視床下部という部分があります。
視床下部が下垂体という部分にホルモンを分泌するよう刺激をおくります。
その結果、下垂体からFSH(卵胞刺激ホルモン)やLH(黄体形成ホルモン)を分泌されます。
下垂体から分泌されたホルモンは卵巣へ女性ホルモンであるエストロゲンやプロゲステロンが分泌を促します。
このように脳から指令が卵巣まで届くことにより卵胞が成長したり排卵が起こります。
しかし、ダイエットによる体重の減少や強いストレスなどが原因により視床下部の働きにブレーキがかかり、FSHや LHの分泌が下がり排卵が起こらない場合があります。
治療法として、排卵を誘発する薬や注射を行います。
早期卵巣不全
卵巣の機能は健康な方でも35歳ごろから徐々に低下し、45歳〜50歳ぐらいに閉経するのが自然な流れです。
しかし、卵巣機能低下症の方は40歳未満で閉経状態になり排卵が起こらなくなります。これを早期卵巣不全といいます。
早期卵巣不全は卵巣内に残っている卵子の数が少ないため、妊娠がしずらいと言われています。
ホルモン検査でAMH(抗ミュラー管ホルモン)値を測ることで、
卵巣にどのくらい卵胞が残っているか調べることができます。
治療法としてホルモン補充療法(カウフマン療法など)を行います。
多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)
月経周期に合わせて、卵巣では数十個の卵胞が成熟し始めます。
その後その中で1つだけが成熟し、その他の卵胞は消滅します。
しかし多嚢胞性卵巣症候群の場合は、男性ホルモンが通常より多く分泌され卵胞の発育が抑制されるため、
沢山の卵胞が未成熟のまま存在し、排卵が起こらない状態になります。
このように卵巣内で卵胞が沢山育っている状態を『ネックレスサイン』といい、超音波で確認することができます。
多嚢胞性卵胞症候群の方は食生活や生活習慣を整えることが大切になります。
特に多嚢胞性卵巣症候群の方はインスリン抵抗性があるため、
血糖値の上がりにくい食事を意識することが大切です。
着床障害
着床障害の原因は胚側の問題と子宮側に問題、両方にあると考えられています。
主な原因として、粘膜下筋腫や子宮内ポリープ、慢性子宮内膜炎、帝王切開瘢痕症候群やアッシャーマン症候群などがあります。
また頚管因子も大きく関わっており、子宮頚管の狭窄や精子の頚管粘液の不適合なども不妊の原因になります。
免疫異常
免疫が強く働いてしまう『免疫性不妊症』も不妊の原因の一つです。
身体の中では異物が入ると免疫細胞が働き、体から追い出そうとします。
そのため、精子や受精卵を異物だと攻撃してしまう場合があります。
免疫が強く働いて場合は、検査をして免疫を落とす薬を飲む場合があります。
原因不明
全体の11%の方が検査をしても問題がないが、妊娠に至らない場合があります。
この場合はさまざまな検査を行い問題を見つけたり、妊娠しやすいお身体にするため
体質改善を行うことが大切です。